スタートボタンを、また君と。
第6章:模索
スタートラインには立てた。
でも、どこに進めばいいのかは、わからなかった。
働きたかった。それは、変わらなかった。でも――会社勤めは、もう無理だった。通勤。満員電車。時間に縛られる生活。あの感覚を思い出すだけで、体が止まる。やりたくない、ではない。できない。
じゃあ、どうする。
家でできること。それしかなかった。
最初に手を出したのは、FXの自動売買だった。
動く。勝つ日もある。いけるか? そう思った次の日、一気に持っていかれる。コツコツ増える。でも、ドカンで消える。
なんだこれ。
また調整する。設定をいじる。ロジックを変える。少し戻る。また減る。数字に振り回されて、感情も一緒に動く。一喜一憂。安定しない。
これで生きていくには、怖すぎた。
でも、金の不安は、ずっとあった。何もしていない時間。収入がない状態。減っていく現実。それは静かに、確実に効いてくる。
もう一つ、占いに賭けてみることにした。
最初は姓名判断。本物の技術を学びたかった。でも、二週間で破門になった。
これもダメか。
そう思った。でも、やめるわけにはいかなかった。
次に、四柱推命。水月先生に入門した。ここは違った。ちゃんと教えてくれる。理論がある。体系がある。積み上げられる感覚があった。
その過程で、タロットも覚えなさいと言われた。占いで稼ぐなら、タロットは必須だと。だから、触り始めた。
カードを繰る。意味を読む。相談に向き合う。最初は、必死だった。
でも、やっていくうちに、違和感が出てきた。
寄り添う。話を聞く。感情を受け取る。深く入りすぎる。抜けられない。気づけば、疲れが溜まっていく。一人終わるごとに、削られる。
これ、続けられるのか?
人助けはしたい。でも、この形は、合っていない。
じゃあ、どうする。
カードを触る。意味を見る。並べる。
ふと、思った。
これ、ゲームにできないか?
一瞬だった。でも、止まった――時間が。さっきまでの不安も、疲れも、全部、止まった。
面白い。
占いとしてじゃない。仕組みとして。カード。意味。組み合わせ。ゲームになる。
その瞬間、何かが繋がった。
金の不安も、将来の不安も、消えてはいない。でも――それとは別の回路が、動いた。
作れる。
そう思った。
それが、タロットクエストの始まりだった。
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